雪すたぐらむ!【梨木水かぶり】
こんにちは!地域おこし協力隊のオバラソウです。
3年ぶりに行われた横手の雪まつり。
まだ規模が縮小されている部分もありましたが、観光客を迎えて開催された今年は街中が賑わう特別な雪まつりになりました。
かまくらや梵天は横手市を代表する伝統的な冬の行事ですが、冬の横手市にはほかにも個性的な冬の伝統行事があります。
今回はその伝統行事の様子をお届けします!
梨木水かぶり
撮影に訪れた場所は横手市十文字地域の梨木。
この地域には江戸時代から伝わる「梨木水かぶり」という変わった行事があります。
この行事は、まさに読んで字の如く…

なんと真冬に裸で豪快に水をかぶるというなんとも凄まじい行事です。

1751年から伝わる梨木水かぶり。
悪疫退散の祈願を込めて地域の若者たちが中心となって行われるようになったとされています。

当日の天気は雨。雪が降るほどの低温ではなかったとはいえ、季節はまだまだ冬。
水をかぶらなくても十分風邪をひいてしまいそうです。


冷たい雨が降る中、列をなして集落を練り歩く裸の男たち。
地域の人たちがあたたかく出迎え、お酒や温かい飲み物などを振る舞っていました。
そして各家々で用意された、冷たい水がたっぷり入ったバケツや桶。

この水を次々と自らの体にかけていきます!




歯を食いしばって水をかぶる人や顔をしかめて水をかぶる人もいれば、ニッコニコで水をかぶる人もいてさまざま。
水をかぶる男衆を見守る地域の人たちからは歓声もあがり、とても盛り上がっていました!
この行事は水をかぶるだけではありません。
行事を締めくくる大事なフィナーレがあります。

参加した男衆が集落を練り歩き水をかぶる際に履いていたこのわらじを結び、家内安全を祈って梨木愛宕神社の境内の中にある槻の木(つきのき)の枝に引っかかるまで投げます。



一発で木の枝に引っ掛けられる人もいれば、何度投げても枝に引っかからない人も。
わらじが無事に枝にかかると境内では拍手と歓声が上がりました。
もっと好きになる横手の冬

今回撮影させていただいた梨木水かぶりでは、参加した人もそれを見守る地域の人もとにかく笑顔や歓声が絶えず地域全体が活気づいていました。
水かぶりの参加者の中には子どもたちも。
大人に負けないくらい積極的に水をかぶる子どもたちの様子を地域の人たちがあたたかく見守る様子は、まさに「文化が継承される瞬間」でした。
この素敵な瞬間に立ち会えたことを本当に嬉しく思います。
そして、寒い中裸で水をかぶる人たちの姿から「絶対に風邪を引かないぞ!」という凄まじい気合いとパワーをビシビシと感じました。
なんでも、この行事に参加した後風邪を引いた人はいなかったとか…。
「梵天が終わると春が訪れる」
横手では昔からそのように言われ、自分にとっても梵天が春を呼ぶ行事だというイメージが昔からありましたが、そんな梵天のエネルギーとはまた違い、この行事は参加者たちの身をもって直接春を引っ張ってくるような力強さに溢れていました。
地域を元気にし、横手に春を連れてくる豪快な伝統行事である梨木水かぶり。
これまで知らなかった横手の新たな一面に触れ、横手の冬がもっと好きになる有意義な撮影でした!