お米を意識する瞬間
横手市地域おこし協力隊のオバラソウです!
突然ですが、みなさんにとってお米とはどんなものですか?
小さい頃から毎日のようにお米を食べている僕にとってお米はあって当たり前のものであり、なくてはならないものです。
同じように「毎日お米食べてますっ!」っていう人は多いのではないでしょうか。
普段何気なく口にするお米。
この秋はそんなお米に対する気持ちが、とある経験を経て大きく変わった季節になりました。
お米たちと「出会う」
田植えから稲刈りまで体験させていただいた横手市十文字の伊藤農場さんで稲刈りが佳境に入ったある日、手で刈り取った稲を伊藤さんから渡されました。
「これを自然乾燥させて、乾燥機にかけたお米と食べ比べしてみるべ。」
ほう…自然乾燥とそうでないものはそんなにも違うものなのか。
いただいた稲を事務所に持ち帰り、風通しの良い場所で乾燥させること約1ヶ月半。
カラカラに乾燥した稲を伊藤さんの元に持っていきました。

「よく乾燥している。ここまで乾燥すると茎や葉にあった栄養が全部米粒に入ってるな。」
めちゃくちゃおいしそう。いや、絶対においしい。
はやく食べたい気持ちが湧き上がってきましたが、その前にこの稲をまず食べられる状態にしなくてはなりません。

まずは脱穀。稲から籾を取り出します。
使った道具は、木の板に何本か釘が刺さったもの。
昔はこうした農機具を使っていたことを小学校のころに習った覚えがありましたが、大人になって改めて見ると、「こんなにシンプルでいいの!?」と思うほど単純な見た目。
時間がかかるかな?と思っていましたが、よく乾燥していたおかげで脱穀はあっさり終了。

大体1合分くらい取れたのかな…なんだか少ない気がする。
ここからさらに籾摺りをして籾殻を除去していきます。

伊藤さんから渡された鉛筆削りのような器具。これで少しずつ籾殻を剥いくのですが、これが大変でした。
剥がれた籾殻と玄米が同じ場所から出てくるため、それを綺麗に分ける必要があり…
息を吹きかけて籾殻だけ飛ばしたり、直接指でつまんで選り分けたり、とにかく細かく根気のいる作業。

この神経をすり減らしてしまうような作業の中ではいろんなお米に出会いました。

なにやら粒の先から伸びている髭。これが何なのか聞いてみると
「米粒に養分が行き渡っている証拠。こういう米粒をたくさん作るのが目標なんだよなぁ。」と伊藤さん。
中にはこんなお米も。

これは虫の被害や栄養不足で変色したり、か細くなってしまったりした、いわゆる不良米です。
こうした不良米は全体の1割から多い時では3割に及ぶとのこと。
大きさもさまざまで、籾摺りの最中は「いろんなお米があるんだなぁ…」としみじみ思いました。
実った米粒全てが真っ白なお米になるわけではないということはわかっていたものの、自分の手で玄米と不良米を選り分けていると「食べられるお米がどんどん減っている…」と少し悲しい気持ちに。
こうした過程を経て食卓に並ぶお米がいかにすばらしいものなのか、自分の作業を通して実感しました。

ここまで手作業で行った乾燥・脱穀・籾摺り・選別は本来機械で行われます。
「稲刈りから玄米ができるまでの流れの中で使われる機械の仕組みや原理はどれも単純なものばかり。でも手でやれば大変だべ?多くの人に美味しいお米を届けるためにいろんな機械が使うんだ。」
今回僕が手作業を通して一粒一粒お米を見たように、日々お米と向き合いながら「どうすれば多くの人においしいお米を届けられるか」を試行錯誤している伊藤さん。
自分自身の体験と、伊藤さんの言葉で普段何気なく食べているお米に対する意識が変化しました。
おいしいお米をこれからも

普段何気なく口にしているお米がどうやってできているのか、それを作っている人がどんな想いで取り組んでいるのか。
身近にある何気ないものほど、どんな風にしてできているのか疑問に思ったり、意識したりする機会は少なくなるものではないでしょうか。
伊藤さんにお米作りに対する想いを聞いたところ、
「食卓の主役になれる。そんなお米を作りたいと毎年試行錯誤しています。」と語ってくれました。
伊藤さんのもとでさまざまな場面を撮影させていただき、実際に貴重な体験もたくさんさせていただいた今年。
いろんな場面で多くの「試行錯誤」をしている伊藤さんの姿が思い出されます。
作り手の想いに触れ、現場を自ら体験して知ることで普段食べているお米に強く感謝する気持ちが湧いてきた今回の体験。
その感謝の気持ちを抱くとともに、毎日当たり前のように食べるお米だからこそ作り手の想いがいっぱいに詰まったおいしいお米を食べたい!と思うようになりました。
あなたが普段食べているお米はどんなお米ですか?
今日、ご飯を一口食べる時、そのお米がどんな想いで作られたのか、ちょっとだけ想像してみてはいかがでしょうか。
お米作りの体験と獲れたての新米を食べて【動画】
伊藤農場さんでの稲刈りや田植えの様子や新米を土鍋で炊いて食べた感想、そして作り手である伊藤さんの想いを動画にしてあります!
これまで撮影してきた映像とともにお米作りを振り返りながら食べるお米はどんな味だったのか…!
まだご覧になっていない方はぜひ↓コチラ↓からご覧ください!