【体験】もはや筋トレ?!「燻りだいこん作り」
こんにちは!地域おこし協力隊の吉成です。
今回は私がずっとやってみたいと思っていた、「燻りだいこん」の製造体験に行って来ました!
訪問した先は、横手市平鹿地域で漬物やパウチのリンゴジュースの加工製造を行っている「だいごの丘」。
知人の神坂さんの職場ということもあり、取材の承諾を快くしていただき、皆さんが優しく私を受け入れてくれたおかげで、充実した時間を過ごすことが出来ました!
ご協力いただき、本当にありがとうございました。
私が上京していた時、「いぶりがっこ」のお土産が断トツで人気でした!
お土産を渡した相手が喜んでくれるだろうと帰省の度にたくさん買い、渡した相手の笑顔から秋田県出身ということを誇りに感じていました。
…が!
誇りに思っていながらも、実はいぶりがっこが市場に出るまでの過程を私は何も知りませんでした。
協力隊として!秋田県出身として!絶対体験したい!ゼロから知りたい!伝えたい!と思っていたことを、早速実現することが出来ました!👏
体験!大根が燻りだいこんになるまで
まずは、メインとなる大根を育てます。
大根の種まきは8月下旬を目処に行い、10月下旬〜11月上旬に成長の様子を確認し、収穫します。
増田地域の大根畑で収穫の作業風景を見学させていただきました。

雨天が続き、土壌が柔らかくなっていた為、手で1本ずつ抜いていました。
天気がいい日が続いた後だと土が乾燥し固くなっている為、機械で土を掘り上げてから収穫するそうです。
大根を抜く人がいて、その後ろに抜いた大根の葉部分を切っていく人。
そして、そのまた後ろの人が切った葉部分で大根についた土を拭っていきます。
たくさんの量を捌くには、チームワークが大事なのが見てとれました。

大根の収穫の様子

葉部分を切り落とす 
葉で土を拭う
中には歪な形をした大根がありました。
土壌に石が混在している場合や、肥料が混ざり切らずに大根の成長を邪魔してしまった場合に起きるそうです。
ただ、種を撒けば真っ直ぐで大きな大根が成るわけではないんですね!
製造場に抜いた大根が運ばれて来ました。
次は大根を1本ずつ洗います。が、泥を落とすだけでも3工程ありました!

まず、泥のついた大根を水が張られた桶に漬けます。
大根を洗う専用の機械では洗い落とせない大根の先の方を1本ずつ手で泥を落とします。

大根の太い部分に付いた泥は専用の機械へ流し、泥を綺麗に落としていきます。
専用の機械を通るとドロドロだった大根がとゅるん!と白い大根になります。
大根がぐるんぐるん機械の中を転がってのがとても面白いです!

機械で取りきれなかった隙間についた泥をブラシで落とすと、私たちがよく目にする真っ白な大根になりました!

いざ、大根洗いに挑戦!
大根の泥の落とし方を教えていただき、リズム良く機械に流していきます。
序盤は泥を落とすことに必死でしたが、時間が経過するにつれ、前屈みの姿勢が辛くなってきました。
「…え?めっちゃ腰が痛いぞ…?!この体勢でずっといるのってこんなに辛かったっけ?!だからって手を止められない…どうしよう辛いよ〜涙」と心中思っていました。(笑)

毎日この作業をされているみなさんに脱帽です。
今度は、燻し小屋に大根を吊るします。

吊るし方は様々あるようですが、ここでは縄に金具で出来た丸い支えが通されていて、縄1本に対して大根を7本吊るすようになっていました。

神坂さんに吊るし方を教わりました。
まずは見て。そして、実践!

大根の入ったケースから大根を1本取っては吊るす。
単純作業で簡単そうに見えたのに、この上下運動は想像以上に体力がいるぞ…と言わんばかりの私の苦笑い、マスク越しでも伝わるかと思います!

7本目の大根を通す頃には、大根の重みで縄が締まり、大根を縄に通す隙間を作るのが大変になっていきます。

見てください!!
この中の1列は私ひとりで吊るしました!
たった1列しか吊るしていないのにこの笑顔!
達成感を感じていそうな笑顔とは裏腹に、この時の腰と腕の体力が限界を感じていました。

そして、燻します。

燻し小屋に火入れをし、三日三晩燻していきます。
火の調整はとても繊細です。
絶対に火が消えてはならないし、気温や湿度などに考慮しながら火加減を調整。
その火は弱すぎてもダメだし、強すぎてもダメ。
そばを離れず、何度も様子を見ている様子から、赤子の子守りをしているように見えました。
焚き木に使用する木の種類は、製造元によってそれぞれ。
ナラ、桜、ケヤキなど。
燻す時の木で味が変わると聞いてびっくりしました!
そんなとこにまでこだわっていただんだ、と。
焚き木違いのものを食べてみるのも、また面白そうですね!

火入れをして一晩経った大根。

二晩経った大根。

三晩経った大根。
三晩を越し、燻された大根は私たちがよく見るいぶりがっこのようになりました!

すいません、写真の撮り方にムラがあり、違いが分かりづらいかもしれません。
燻し小屋に火入れがされていると煙で目が痛く、大根のそばに近寄ることが出来ないんです…。
涙を流しながら撮影した私の精一杯の写真です!ご了承ください!m(_ _)m

吊るされた大根を縄から外し、やっと漬け込んでいきます。

いぶりがっこを漬ける時の主な材料は、ぬかと塩とザラメです。
詳しい配合は企業秘密とのこと。
大根を樽に並べていきます。
1つの樽に約100本の大根が並びます。
大根がのびのびするように!且つ、隙間が出来ないように!
一見、矛盾したようことを言っているように思ってしまいました。
大根と大根に隙間が多いと酸化の恐れがあり、美味しく漬け込むことが出来ないんだそうです。
大根に負荷をかけずにピッタリと並べていくことが、美味しく漬け込む為に必要とのこと。

私は先輩方のアドバイスを愚直に意識しながら、大根を樽に並べていきましたが、途中、アドバイスの意味がよく分からなくなってしまい、結局先輩と一緒に樽に並べていきました。
素人には難しかったです。

先輩方が並べると大根がのびのびして見えるし、隙間も少ないんですよ。長年の勘が物を言うんですね。
パズルゲームのようでしょ?

出来ました!
このうえに重石を置き、45日経過したら完成です。
「目印しておくから出来る頃に食べにおいで!」と嬉しいお言葉をいただき、出来上がりがとても待ち遠しいです!

職人、名台詞を言い放つ。
お茶っこの合間に、神坂さんにこの仕事をしていて大変なことは何か、を聞いてみました。
「まず、仕事だと思っていない!趣味だと思っているから!」と、予想打にしない答えが返ってきました。
「じゃあ難しいことは?」と聞くと、
「難しいこともない!時間が経過し、樽によっては味が変わってしまう時もあるけど、その場合でも正しく調整出来る知識と勘がある。私、失敗しないので!!」
と、どこかで聞いたことのある名台詞を豪語している姿には思わず笑ってしまいました。笑

好きなことを追求し、続け、それがやがて仕事になる・仕事にするのは、人生を自分自身で楽しくする為の一つの手段なのかもしれない、とヒントをもらえた時間になりました。
一般的に1日の約1/3を仕事に費やすといわれている人生において、好きなモノ・コトに関わり、お金を得ることができる。
そのひとりが神坂さん。
教えてくれる姿から普段見せないイキイキとした神坂さんを見ることができ、私も年老いても自分のやりたいことに挑戦できる、元気なおてんばお婆ちゃんになりたい!と思いました。

私のYOKOTE PRIDE🔥
燻りだいこん作りは私にとって非日常体験でした。
作業を通し、めちゃくちゃ体力勝負の仕事なんだと身をもって感じることが出来ました。
大根はひとつひとつが大きくて重たく、多い時では1日に1,000本以上捌くとのことでした。
この日の晩、私は早々に床に着き、翌日には筋肉痛、さらには口内炎も出来てしまいました。
普段デスクワークの私にとって、たった1日で疲労困憊。
こうした体力仕事を毎日こなし、自宅に帰っては家事を当然のようにしているお母さんたちの体力はバケモン!と思ってしまいました。
「母強し」という言葉は、子供を守るという本能の様から生まれた言葉ですが、女性として尊敬の意を込めた言葉として、今回お世話になった皆さんに「母強し」という言葉と共に感謝の意を伝えに、自分の漬けた大根が出来上がる頃にお伺いしようと思っています!
「若い人がこうして1人でもいるだけで、作業効率もやる気も全然変わる」と仰っていましたが、定年を過ぎた皆さんが働いていました。
後継者不足だったり働き手不足の問題を目の当たりにさせられました。
私はいずれ物作りに携わりたいと思っています。
まだやりたいことがはっきりと見えているわけではありませんが、こういった第一産業の楽しさの本質を第一線で働いているプロフェッショナルから、こうした機会に直接受け継ぎ、若い世代に伝えていきたいです。
また、横手で生きる市民として、横手の良い素材を知る為に今の私がしなければならないこと=したいことは、私自身がそのモノの価値を身をもって感じ、近すぎて見落としているそのモノの良さを市民の皆さんに伝えることです。
横手を代表する名産を裏で支えている皆さんの仕事、いかがでしたか?
地味な作業ながらもかっこよく感じるのは、私だけではなかったのではないでしょうか?^^
秋田県横手市を代表する名産について深く知らなかった以前までの私とは違い、こうして体験できたことで、私のYOKOTE PRIDEが一歩進化しました。
私の活動をきっかけに、皆さんの中に潜むYOKOTE PRIDEにも進化が生まれたら嬉しいです!🔥